木陰のなかの水たまり

日常のささいなことや、光や影について、ゆるく書いていければなと思います。

ペンケースと革磨き

私の宝物の1つに、ペンケースがある。22歳の誕生日に友人がプレゼントしてくれたものだ。もう何十年も前のことだ。小学校時代からペンケースは半年ごとに買い換えていたけれど、そのペンケースはプレゼントされてからずっと愛用している。

茶色の革のペンケースで、とてもシンプルなものだ。ファスナーが付いていて、今でもなめらかに開閉する。布製のものしか使ったことがなかった私にとって、それをプレゼントされた時は心から嬉しかった。ちょっぴり大人になった気がした。良い道具は使う人の背筋を正す効用がある。

 

それからというもの、私は革製品が好きだ。所有している革製品なんて、片手で数えるほどしかないが、どれもペンケースと同じく長年私の手元にある。革は水に弱いことや油分をしっかり補給しないとヒビが入ることも経験からわかってきた。だから専用のクリームで磨くことを日課としている。革製品を磨く時間は至福だ。革の匂いとピカピカに光る製品をいつまでも感じていたい。革の匂いはどれも似たような匂いだけれど、それぞれはちゃんと異なっている。当たり前のことかもしれないが、日用品で香りを嗅ぎ分けられるというのは、なんだか大事なことのように思う。

友人にプレゼントされたペンケースは今でも毎日持ち歩いている。その中に、父親から何年も前に譲り受けたcrossのタウンゼントが入っている。ペンケースを開き、crossのタウンゼントで筆記するたびに、私は何十年も前の友人の姿と、若かりし頃の自分自身を思い出す。苦い経験やそれでいて爽やかな青春時代がすべて詰まったあの頃を。友人は元気に過ごしているのだろうか。