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木陰のなかの水たまり

日常のささいなことや、光や影について、ゆるく書いていければなと思います。

春の長雨

忙しさが一段落ついた。この春の長雨で、きっと桜は散ってしまうだろう。桜よ、咲き誇ると同時に散る定めに、何を思うのか。

この1年間、君はずっと盛りの時期をを待ちわびていたのではないか。あるいは、これも自然の流れだと受け入れるのか。君がこの春の、穏やかな雨について何を思うのか、私は問うてみたい。シトシトと雨に打たれ、満開になるの花びらを落としながら、その地でこの春は君にとって、どのような意味を持つのか。

 

新入社員が沢山入ってきた。私は今回、歓迎会の司会を務めたりオリエンテーションの進行をしたり、似つかわしくない役割を振りわてられた。学生から社会人になり、まだまだ学生らしさの屈託のない無邪気な顔が、たくさん見られた。世間では、ゆとりだのマナーがなってないだの批判があることは承知している。私自身もマナーの大切さや立ち居振る舞いには気をつけるべきだと思う。

ただ、彼らを見ていると、どこかしら懐かしい、ずいぶん遠い昔に私自身から去っていったある種の感情を感じないわけにはいかなかった。恐らくもう2度と私の中には戻ってこない、ある種の感情を。

それは、将来に対する希望だったり不安であったり、全く未知なる世界と対峙したときに感じる想いだ。そこには打算もなく計画もなく、そびえる高い壁を目の前にして呆然と立ち竦す想いに似ている。これから様々なことを経験して、心の角張ったところが徐々に削られて、彼らも適合していくのだろう。そして彼らも大人になると同時に、何がしかの感情を忘れていくのだ。そして、間違いなくその青春特有の感情は、彼らの中には、もう2度と戻らない。

ほどよく風が吹き抜けるような、爽やかさと憂愁を帯びた想いを、今回彼らから感じ取ることができた。その想いは、私に過去を思い出させ、懐かしく暖かな想いに浸してくれた。しかし、そこに身をひそめるのはわずか数分だ。なぜなら、もうそれは私自身から去っていたったものだからだ。過去に経験し、ある時期とともにいなくなる。

これが成長するということなのだろう。彼ら自身も、きっと。