穏やかな瀬戸内に浮かぶ直島

珍しく暦通りの休みになったので、瀬戸内に浮かぶ直島に行ってきた。台湾の友人が以前訪れて良かったと言っていたのもあるし、穏やかな瀬戸内の海風にあたってのんびりしたいと前々から思っていたのだ。今回はひとり旅なので気楽である。

行ってみて気づいたのだが、都心からのアクセスはそこまで悪くない。羽田から高松空港まで行き、高松駅まではリムジンバスで1時間程度、そこからフェリーで1時間ほどだ。自宅から直島までは相当時間がかかったが、全て座っての移動だしそこまで歩いたわけでもないので、自分としてはもう満足である。

直島は近年、国際芸術祭の開催やアートで街おこしが活発化し、日本の若者をはじめ海外からの観光客も非常に多い。3連休の混雑具合を覚悟して行った割に、そこまで混んでなく(むしろ空いてた)、淡く穏やかな瀬戸内の海を満喫する事ができた。赤いかぼちゃで有名な草間彌生の作品や、安藤忠雄が設計した地中美術館も個人的にはまた訪れたいと思った。

ほぼノープランで、宮浦港からほど近いゲストハウスに宿泊した。相部屋のゲストハウスを利用したのは5年ぶりだ。学生の頃は海外旅行の際によく利用したが、この歳になるといろいろと気になってしまい(より神経質になってきた)、落ち着けなかった。自分では相当厚かましい人間だと思っていたが、意外と繊細なことに気がついた。まぁ、2泊もすると少しは慣れて、金銭面でも満足したのだが。

話はそれるが、私はあまり友人と旅行に行くのが好きではない。いろいろと気にしてしまい、楽しめないどころか具合が悪くなってしまう。もともと何かを見たい!という目的があるわけでもなく、予定をぎっしり入れるよりかはのんびりするのが好きなのだ。それに旅行計画に楽しみを見出せず、現地に行ってから考えればいいと思ってしまうので、友人も愛想を尽かしてしまう。だからひとり旅の方が気楽だし、今までの旅行も1人の方が多い。

今回の直島旅行もひとり旅だったのだが、本当にのんびりした。自転車をレンタルして、ゆっくりと島を周り、疲れたらカフェで休む。チェーン店や大きいカフェがないので、あまり1つのところに長く滞在できなかった。旅行中はヘッセの『車輪の下』とドストエフスキーの『永遠の夫』を読んだ。移動時間や休憩時間が多かったので、どちらの作品もゆっくりと味わえた。本を閉じて再び自転車に乗り、瀬戸内の穏やかな海を見る。この2日間にだいぶ心が洗われた気がする。

アートが売りだからか、他の観光地よりも圧倒的に若者が多かった。オシャレな女の子やカップルが沢山いて直島は賑わっていた。ただ、3年に一度開催される国際芸術祭の時は地獄だと思う。まず宿泊する施設がベネッセのホテルしかなく、あとはゲストハウスのみだ。美術館やカフェも空いているからこそ楽しめたり堪能できたりするわけで、あそこに人が押し寄せたらと考えるだけで気が遠くなる。また空いているときに訪れたいと思う。