消えゆく朝の気持ち

朝抱く気持ちと夜抱く気持ちは驚く程ちがう。まるで別人みたいだ。たとえば、朝会社に行く時、こんな仕事とっとと辞めてやると思いたち、いろいろ調べてみる。そして自分には無限の可能性があるように感じられる。絶対違う道に行こうと心に誓う。しかし、会社に行き仕事を終える頃になると、挑戦という野心は消え失せ、早く帰ってゆっくりしたいという思いの方が強くなっている。

これはなんなのだろう。あの朝の野心はどこに行ったのだろう。あの希望に燃えた、現在からの脱却を叫ぶような響きはなぜ消えてなくなってしまったのだろう。あれさえ続いていれば、全く別の道を歩むこともできるのに。

思うに、朝の気持ちは何もにも汚されていないピュアなものだ。自分の心を純粋に反映している。朝の気持ちをよく観察したほうがいい。その奥底に、私たちの本心が隠れている。憂鬱な気持ちが何日も続けば、違う行動をとったほうが良い。スティーブ・ジョブスも言っている(確かそうだった)。

反対に、夜の気持ちは、日中の疲れから心を純粋に映しだしていない。それは歪曲した鏡に映る自身のようだ。本来の姿からすっかり変わっている。だから、夜の気持ちはあまり信じないほうがいい。たとえそれが、どんなに快楽的な気持ちでも。きっとそれは私たち自身ではない。